歯科医師国家試験のための歯科辞典-カ行
[カ]
加圧印象
有床義歯の印象において、欠損部顎堤粘膜に圧を加えながら印象採得する方法。手圧印象、咬合圧印象、動的(ダイナミック)印象などがある。
加圧成型法
ワックスパターンを成形する方法のひとつ。軟化したワックスを窩洞や歯型に圧接し、その後彫刻・成形する。操作温度が低いため、ワックスの冷却による収縮が小さいため適合制度が良いのが利点である。
外頸動脈
総頚動脈の枝のひとつ。上甲状腺動脈、上行咽頭動脈、舌動脈、顔面動脈、後頭動脈、後耳介動脈、顎動脈、浅側頭動脈を分ける。このうち、顎動脈と浅側頭動脈が終枝となる。
開口筋
開口運動にかかわる筋肉群。外側翼突筋、顎二腹筋前腹が主にかかわる。
開口反射
口腔粘膜や歯根膜の刺激により、開口が誘発される顎反射
開口筋の運動ニューロン促進と閉口筋の運動ニューロン抑制の両方が起こる。
外呼吸
酸素の吸入、肺によるガス交換、呼気による二酸化炭素の排出の一連の過程
介在結節
上顎小臼歯のおもに近心辺縁隆線にみられる、周囲を溝で囲まれた島状の膨隆部
カイ2乗(χ2)検定
ある二群間において、ある特徴を持つ個体の割合が同じであるかを検定する手法の一つ
概日リズム
サーカディアンリズムともいう。体内時計の刻むリズムであり、隔離環境下では約25時間の周期である。様々な刺激により1日24時間周期の昼夜リズムとのズレを修正する。
解釈モデル
患者や医療者が持つ疾患に対する知識、理解、経験などをまとめたモデル
患者の解釈モデルの聴取にあたっては、患者の考えを問うためオープンクエスチョンを利用する。
外傷性咬合
必要以上に強い咬合力により、歯周組織に損傷や病変を引き起こす咬合状態のこと
外傷性咬合により、歯周組織に一次性咬合性外傷または二次性咬合性外傷が生じる。
外傷性歯肉病変
歯肉部への外傷によって生じる歯肉炎
歯ブラシによって生じる歯肉部の潰瘍性病変が多い。
外舌筋
舌外の骨から舌内に入る筋。オトガイ舌筋、舌骨舌筋、茎突舌筋の3つがある。
外側舌隆起
第一鰓弓に由来する、舌の発生にあたり舌体の形成に先駆けて形成される2つの隣接する隆起。将来舌体になる。
外側鼻突起
顔面隆起のひとつ。鼻翼の形成に関与する。上顎突起との癒合不全で斜顔裂が生じる。
外側フィニッシュライン
義歯の研磨面に設定されるレジン床とメタルフレームの境界。境界はバットジョイントとする。
改訂水飲みテスト(MWST)
嚥下障害のスクリーニングテストのひとつ。口腔底に入れた3mlの冷水を嚥下させて呼吸状態やむせの有無を評価する。
解糖系
細胞質で行われるグルコース代謝経路。1分子のグルコースから2分子のATPが得られる。
最終代謝産物はピルビン酸、乳酸またはエタノールである。嫌気的に行うことができる。
外毒素
細菌の代謝により産生され、菌体外に放出されるタンパク性毒素。内毒素と比較して毒性が強いが、多くは易熱性であり、トキソイド化も可能である。
ガイデッドサージェリー
ガイドサージェリーともいう。インプラント埋入手術の際に、術前CTによる画像データをもととしたドリルガイドを用いてインプラント埋入窩を形成し、インプラント体を埋入する術式
介入研究
予防法や治療法に対する介入を行い、その効果を介入しない対照群と比較するもの
外胚葉異形成症
外胚葉性の組織の形成障害が発症した先天性疾患。無汗型のものでは、無歯症や矮小歯、疎な毛髪、汗腺や皮脂腺の欠如などがみられる。
外胚葉性間葉
神経堤細胞の一部が間葉細胞に分化し、その細胞から由来する組織。象牙芽細胞、セメント芽細胞、歯根膜の線維芽細胞などもこれが由来となる。
解剖学的印象
口腔内の解剖学的形態を静的な状態で採得する印象。無圧印象とほぼ同義
解剖学的咬合器
顎関節の動きと構造に近似した調節が可能な咬合器
解剖学的根尖孔
歯根を走行するもっとも太い主根管が歯根尖で歯根表面に開口する部分。生理学的根尖孔より大きい。
潰瘍
皮膚や粘膜の上皮が全層性に消失した状態
カウザルギー
末梢神経と交感神経の外傷などによる損傷に伴い、その支配領域を中心に生じる灼熱痛
Kaup指数
乳幼児に用いる栄養指数。体重(g)を身長(㎝)の二乗で割り、10倍した数で表す。
窩縁隅角
窩縁において、窩壁と歯面で形成される角度のこと。グラスアイオノマーセメント修復やセラミックインレー、レジンインレーではベベルを付与しないので窩縁隅角は90°程度に調整する。
過蓋咬合
前歯部が咬頭嵌合位において正常よりも被蓋が深いこと
下顎安静位
上体を起こして安静にしている時の下顎位。このとき咬合面間には2~3mmの空隙が存在する。また、歯の有無によって変化しない下顎位でもある。
下顎下縁平面
メントン(Me)から下顎下縁に引いた接線
下顎下縁平面角
下顎下縁平面とフランクフルト平面のなす角度
下顎区域切除術
下顎骨にできた腫瘍の切除法のひとつ。下顎管に達しているかが基準となる。
下顎限界運動
下顎が動くことのできる最大範囲。矢状面内における下顎限界運動を記録したものがPosseltのバナナである。
下顎後静脈
浅側頭静脈と顎静脈を根とし、下顎角後方付近で顔面静脈と合流して内頚静脈に注ぐ。
下顎骨斜位投影法
口外法撮影法の一種で、下顎骨の側面像が得られる。
下顎骨体骨切り術
Dingman法ともいう。下顎前突症に対し、下顎骨体部で骨切りを行う。下顎角が正常で、下顎骨体の長さだけが長い症例で用いられることがある。
下顎枝矢状分割術(SSRO)
下顎前突症、下顎後退症などに用いられる外科的矯正手術。下顎の後方移動だけでなく、前方移動も可能。骨の接触面積が広いので術後安定した結果が得られる、歯を犠牲にしないなどの利点がある。
下顎枝垂直骨切り術(IVRO)
下顎前突症、下顎非対称に用いる術式で、下顎枝部を垂直に骨切りする。
化学受容器
化学物質の刺激に対して応答を示す受容器。頸動脈小体、大動脈小体の化学受容器は酸素濃度を主に受容する。
下顎小舌
下顎枝内面の下顎孔前縁にある、薄く三角に尖った板状の小突起。蝶下顎靭帯がこの部分に付着する。
下顎張反射
オトガイ部を叩くか下顎を急激に引き下げると閉口筋が反射的に収縮し閉口する顎反射のひとつである。受容器は筋紡錘に存在する。